生前贈与はお得?生前贈与と注意点節税のポイントを詳しく解説
生前贈与には複数の種類があり、贈与方法の選択を誤ると、トラブルが生じたり期待するほど節税効果が得られなかったりすることもよくあります。生前贈与の仕方で悩んだら、自己判断はせず専門家の相談を通じて、適切な贈与方法を選ぶことが推奨されます。
贈与税と相続税の税額を最小限に抑え、確実に資産を子どもや孫に譲るためには、早期に着手ししっかりとした計画を立てるこが重要です。贈与税を減らす方法としては、特別控除を適用する、安い時期に売却して暦年贈与する方法があります。
生前贈与の種類とそれぞれの違い
生前贈与には、一括贈与、暦年贈与、負担付贈与という3つの種類があります。こちらでは、それぞれの違いについて解説します。
◇一括贈与
一括贈与は、結婚や子育て資金を一括して贈与する制度で、非課税枠が大きいため多くの人が利用します。特に「結婚・子育て資金の一括贈与」は、京都をはじめとする地域でも、親や祖父母が子や孫のために最大1,000万円を非課税で贈与することが可能です。この制度は、令和7年3月31日まで延長されており、結婚資金には300万円、子育て資金には最大1,000万円までが対象です。
ただし、対象者は18歳以上50歳未満の子や孫などで、前年の所得が1,000万円以下であることが条件です。また、使用用途が限られているため、贈与した資金は専用口座を通じて管理され、利用目的に合った範囲でのみ使用が認められます。
◇暦年贈与
暦年贈与は、毎年一定額まで非課税で贈与できる方法です。毎年1月1日から12月31日までの1年間に110万円までの贈与は非課税となり、不動産も対象となります。不動産売却後の利益を、この制度を使って少しずつ贈与することで、大きな節税効果が期待できます。
この方法は長期間にわたり少額ずつ贈与するため、相続税の課税対象となる財産を着実に引き継げます。ただし、暦年贈与は贈与税廃止の可能性があるため、早期に計画を立てることが重要です。特に京都などの不動産が高額な地域では、毎年贈与することで相続税を減らせます。
◇負担付贈与
負担付贈与とは、贈与者が特定の条件や義務を課した状態で財産を贈与する方法です。例えば、住宅を贈与する代わりに受贈者がその住宅ローンを引き受けるという形が典型的です。この方法では、受贈者は負担部分を差し引いた金額に対して贈与税が課税されますが、贈与者も譲渡所得税を支払うケースがあり、注意が必要です。
負担付贈与は、親が自宅や不動産を譲る代わりに、子供に介護や生活サポートを負担してもらう場合にも利用されます。不動産売却後に残るローンを子供が引き継ぐ場合などにも適しており、双方の経済的負担を調整しつつ、資産を円滑に引き継ぐことができます。ただし、契約を文書化し、双方の責任範囲を明確にしておくことが大切です。
不動産の生前贈与する際の注意点と失敗事例
生前贈与はメリットばかりではありません。後々、後悔しないようによくある失敗事例を把握し、対策を講じておくことが重要です。
◇贈与税が大きくなりやすい
生前贈与で不動産を譲渡する際、特に注意が必要なのが贈与税です。不動産の価値が高いため、贈与税率も非常に高額になることが多く、相続税よりも税負担が大きくなるケースがあります。例えば、相続税には3,000万円の基礎控除と相続人1人あたり600万円の控除がありますが、贈与税にはそのような大きな控除がありません。
年間110万円を超える贈与に対して贈与税が課せられ、特に不動産のような高額資産では、税率が最大55%に達することもあります。したがって、不動産を生前贈与する場合は、相続税と贈与税の差をしっかりと考慮することが不可欠です。効果的な節税を行うためには、事前に税理士などの専門家と十分に相談することをおすすめします。
◇不動産の生前贈与失敗事例
不動産の生前贈与は、正しい手続きを理解しないまま進めると失敗することがあります。例えば、法務局で贈与の所有権移転登記を終えたからといって、すべての手続きが完了したと思い込むケースがあります。しかし、生前贈与では贈与税の申告が必要なため、申告を忘れると後で高額な税金を請求される可能性があります。
実際に、法務局での手続きを終えたものの、贈与税の申告を怠ったため、後日数百万円もの税金を請求された事例も存在します。特に不動産を売却すると、こうした問題が表面化しやすいため、贈与税の対応を怠らないよう、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。
生前贈与での効果的な節税方法
同じ財産を贈与するのでも、贈与の仕方で支払う税額が変わってきます。生前贈与における効果的な節税方法としては、以下のようなものがあります。
◇現金化し暦年贈与する
不動産をそのまま贈与すると、贈与税が非常に高額になる可能性があるため、現金化してから贈与を行う「暦年贈与」という方法が有効です。さらに暦年贈与を採用し、1年間に贈与された財産が110万円以下にすれば、贈与税がかからず申告も不要になります。
具体的な例としては、京都で不動産を売却し、その売却代金を毎年暦年贈与として家族に渡す方法が考えられます。この方法では売却額全体に対する税負担を分散でき、最終的な税額を大幅に削減できることが可能です。早期に着手すれば、長期間にわたって少額ずつ贈与できるため、さらに節税効果を高められます。
◇2,500万円の特別控除を適用する
相続時精算課税制度を利用することで、2,500万円までの生前贈与に対して贈与税が非課税となります。この制度は、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に対して利用できる制度です。例えば、京都で不動産を持っている親が、この制度を利用してその不動産を子や孫に贈与すれば、2,500万円までの贈与に対して贈与税がかかりません。
また、2024年の改正で、新たに創設された年間110万円までの基礎控除は、2500万円の控除に含める必要がなくなりました。そのため、この制度を活用しながら、さらに贈与税の負担を軽減することが可能です。
ただし、贈与時には非課税ですが、相続時には贈与された財産も含めて相続税が計算される点に注意が必要です。また、この制度を一度選択すると、暦年課税には戻せないため、適用には慎重な検討が求められます。
◇不動産価格が安い時期に生前贈与する
不動産価格が低い時期に生前贈与を行うことで、相続税の負担を軽減できる場合があります。特に不動産の価値が上がることが見込まれる京都のような地域では、価格が低いうちに贈与することが有効な節税策となります。
不動産の贈与税や相続税は、路線価や固定資産税評価額を基に計算されるため、価格が上昇する前に贈与を完了させれば、評価額が低い状態で贈与でき、贈与税や将来の相続税を抑えることが可能です。例えば、現時点で3,000万円の不動産が将来6,000万円に値上がることが予測される場合、今のうちに贈与しておけば、増加した後に相続税を支払うよりも税負担を大幅に軽減できます。
また、不動産を早めに贈与しておくと、それ以降に生じる家賃収入などの収益も贈与を受けた側の財産となり、相続時の財産額を減らせるため、結果的に相続税がさらに抑えられる可能性があります。
生前贈与に関する相談先
相続や生前贈与には、専門的な知識が必要です。ドラブルを未然に防ぎ、よりスムーズに資産を譲渡するためには、必要に応じて専門家に相談することが大切です。主な相談先は、以下のとおりです。
◇税理士
税理士は税務の専門家であり、生前贈与に関する節税対策に最適な相談先です。不動産売却を含む財産の評価や、贈与税・相続税の計算に関する知識を持っているため、的確なアドバイスを受けられます。京都など地域特有の税制や評価額に精通している税理士も多く、適切な節税策を提案してくれます。
また、申告手続きも依頼できるため、複雑な手続きを自分で行う負担が軽減されます。デメリットとしては、費用が発生する点が挙げられますが、無料相談を実施している事務所も多く、初めての相談ではコストを抑えられるケースも少なくありません。
◇弁護士
弁護士は、法的トラブルを防ぎながら生前贈与を進める場合に頼りになる存在です。相続に関連する紛争やトラブルを未然に防ぐための法的サポートが強みです。例えば、不動産を含む相続において、家族間でのトラブルが予想される場合や、遺産分割協議が必要になるケースでは、弁護士のアドバイスが有効です。
デメリットとしては、税理士と異なり、税金に関する専門知識がないため、相続税や贈与税の詳細な節税策については期待できない点です。また、弁護士費用も一般的に高額であるため、費用面での負担が大きいことも注意が必要です。
◇司法書士
不動産を生前贈与する際には、名義変更が必要です。司法書士は主に不動産の登記や相続手続きを専門とする専門家で、相続財産の登記変更や遺言書の作成などを依頼できます。
ただし、税理士のような税金に関するアドバイスや、弁護士のような法的トラブル解決には対応していないため、それらの分野に関しては他の専門家と連携する必要があります。
生前贈与には、一括贈与、暦年贈与、負担付贈与の3種類があります。一括贈与は結婚や子育て資金を非課税で一括贈与する制度で令和7年3月31日まで利用することが可能です。暦年贈与は毎年110万円まで非課税で贈与できる制度で、長期的な節税効果が期待できます。負担付贈与は、贈与者が特定の義務を課して贈与するもので、例えば住宅のローンを受贈者が引き継ぐ際に採用される贈与方法です。
生前贈与をする際に発生する贈与税は、2,500万円の特別控除を適用すれば減らすことが可能ですが、不動産の価格は高額なため特に注意が必要です。例えば、不動産をそのまま贈与すると贈与税が高額になるため、現金化してから「暦年贈与」を利用する方法が有効です。1年間の贈与額を110万円以下に抑えれば、贈与税はかからず申告も不要になるからです。
また、不動産価格の上昇が見込まれる不動産の贈与であれば、安い時期に生前贈与することで贈与税を大幅に減らせます。
ただし、節税を目的に生前贈与をしたにも関わらず、贈与税が相続税よりも高額になることがあるため、節税に関する悩みは税理士との相談が推奨されます。生前贈与や相続に関連するトラブル、遺産分割協議などに関する悩みは弁護士、不動産の登記や相続手続きに関する悩みは司法書士に相談することが可能です。いずれも費用は高額になりがちですが、無料相談を活用すると費用を安く抑えられる場合もあります。
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